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生活習慣病外来

1:生活習慣病とは?

生活習慣病とは、日常生活における習慣や環境が発症・進行に深く関わる病気の総称です。
日頃の食生活や運動習慣、喫煙・飲酒、ストレスなどが深く関係しています。
代表的なものとして、糖尿病、高血圧症、脂質異常症(コレステロール・中性脂肪などが高値)、痛風(高尿酸血症)などがあります。

自覚症状がなく、じわじわ進行するため自分では気づきにくいのが特徴です。
症状がないからといって放置していると、全身の血管が痛むスピードが早くなり(動脈硬化)、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気が起きやすくなります。
そのため、健康診断などで指摘された早い段階で治療を始めることが大切です。

2:生活習慣病が見つかるタイミング

健康診断などで指摘されるケースが多く・・

  • 血圧が150台って指摘された
  • LDLコレステロールが180と高かった
  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が7.0と高かった

などで受診される方が多いです。
しかし、受診される方のほとんどが自覚症状もなく、「健康診断で指摘されたのでとりあえず受診しました」と言われます。

3:生活習慣病に対する当院での治療プログラム

まずは定期的に血液検査や心電図などを行うことで、現在の身体の状態の把握をします。
検査結果に基づいて、内服薬の処方や生活指導を行います。当院では少しでも薬を減らせるように生活指導に力を入れています。
また、漢方薬やサプリメントを用いた体質改善も行っていますので(サプリメントは自費になります)、お気軽にご相談ください。

4:高血圧とは?

高血圧とは・・・
日本高血圧学会の高血圧診断基準では、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。
自宅で測定する家庭血圧では、診察室での血圧よりも5mmHg低く収縮期血圧(最大血圧)が135mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が85mmHg以上の場合を高血圧とされます。

5:高血圧の原因は?

高血圧の原因は複数ありますが、主なものを以下に説明します。

生活習慣

高塩分の食事や肥満、運動不足などの生活習慣が高血圧の原因となることがあります。
食事や運動習慣を見直し、健康的な生活を送ることが重要です。

遺伝的要因

高血圧は遺伝的な要素も関与していることがあります。
家族歴に高血圧の人が多い場合、自分自身も高血圧になりやすい可能性があります。

ストレス

長期間にわたるストレスや精神的な負担は、交感神経の過剰な活動を引き起こし、血圧を上昇させる可能性があります。

年齢

年齢が上がるにつれて、血管の柔軟性が低下し、血圧が上昇する傾向があります。

病態

一部の病態や疾患、例えば腎臓疾患や内分泌系の異常、睡眠時無呼吸症候群なども高血圧の原因となります。

6:高血圧を放置するとどうなる?

高血圧は重症になるまでほとんど自覚症状のない疾患(真綿で首を締められるように全身の動脈硬化が進行し、症状が出てくる頃には大変なことになっていることが多いです)であるため、放置されてしまう場合もありますが、たとえ症状がなくても、血圧が高ければ治療を受けるようにしましょう。
高血圧は放置すると心血管疾患や脳卒中などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。
定期的な健康診断や健康的な生活習慣の確立が予防につながります。

7:高血圧の治療について

高血圧の治療には、薬物療法や生活習慣の改善が一般的に行われます。
以下にそれぞれの方法をわかりやすく説明します。

薬物療法

降圧剤

高血圧を下げるために処方される薬になります。
例えば、降圧薬には利尿剤(尿を多く排出させる)、β遮断薬(心臓の負担を減らす)、カルシウム拮抗薬(血管を広げる)、ACE阻害薬(血管を広げる)などがあります。
個々の症状や患者の状態に合わせて医師が適切な薬を処方します。

生活習慣の改善

食事の見直し

高塩分の食事や高脂肪の食事を控え、野菜や果物、全粒穀物などの食物繊維を多く摂るようにします。
また、カフェインやアルコールの摂取を控えることも重要です。

適度な運動

有酸素運動(ウォーキング、水泳、サイクリングなど)を週に数回行うことで、血圧を下げる効果があります。
ただし、無理な運動は逆効果になることもあるため、医師の指示に従って行いましょう。

禁煙

タバコの喫煙は血圧を上昇させる要因の一つです。
禁煙することで血圧が安定する可能性があります。

ストレス管理

ストレスを軽減するために、リラックス法や瞑想、趣味に時間を費やすなどの方法が有効です。


高血圧の治療には継続性と継続的なモニタリングが必要です。
医師の指示に従い、定期的な健康診断や薬の服用、生活習慣の改善を行うことで、高血圧を管理することができます。

8:糖尿病とは?

糖尿病とは・・・
「インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態」
と定義されます。

健康な人の場合、血糖値が上がりやすい食後であっても、血糖値は適度な範囲(70~140mg/dl)にコントロールされるため、過剰に増加することはありません。
食事などの影響で血糖値が上がると、その変化を膵臓に存在する膵β細胞(図1)が感知してインスリンを血中に出すからです。
インスリンには血漿のブドウ糖を筋肉や脂肪に取り込ませる作用があるため、結果として、食後に血糖値が上がりすぎないように作用します(図2)。
空腹時のインスリンは低い値で維持されるため、ブドウ糖が筋肉や脂肪に必要以上に取り込まれることはありません。
これらの作用を介して、血糖値は空腹時でも食後でもちょうどよい範囲である70mg/dlから140mg/dlに保たれています。
多くの糖尿病の方では、適切な量のインスリンが分泌されなくなったりインスリンの効果が低下したりなどの異常が認められます。
糖尿病ではインスリンの作用低下から血糖値が増加しますが、その結果として全身にいろいろな影響を与えます。

図1:膵臓とインスリン(日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療の手びき2020(改訂第58版), p2, 南江堂, 2020)

(日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療の手びき2020(改訂第58版), p3, 南江堂, 2020)

9:糖尿病の原因は?

糖尿病の原因には主に2つのタイプがあります。それぞれについて説明します。

1型糖尿病の原因

自己免疫反応

1型糖尿病は、免疫系が誤ってインスリンを産生するβ細胞を攻撃し、破壊してしまう自己免疫疾患です。
この結果、膵臓が十分なインスリンを作れなくなり、血糖値の調整が困難になります。
なぜ免疫系がこのような攻撃をするのかは完全には解明されていませんが、遺伝的な要素や環境の影響が関与していると考えられています。

2型糖尿病の原因

インスリン抵抗性

2型糖尿病は、体の細胞がインスリンに対する感受性を失うインスリン抵抗性が主な原因です。
これは、インスリンが効率的にグルコースを細胞に取り込むことができなくなる状態です。
遺伝的な要素や肥満、不健康な食生活、運動不足などの生活習慣がインスリン抵抗性を引き起こす要因となります。
インスリン抵抗性が進行すると、膵臓はより多くのインスリンを分泌しようとしますが、最終的にはインスリンの産生が不足し、血糖値が上昇します。


糖尿病の原因は複雑で、一般的には遺伝的な要素と環境の影響が組み合わさって発症します。生活習慣の改善や定期的な健康管理が重要であり、糖尿病の予防や管理に役立ちます。

10:糖尿病を放置するとどうなる?

糖尿病を放置すると、さまざまな健康問題や合併症が発生する可能性があります。
これらの合併症は、血糖値が長期間高い状態であることによって引き起こされます。
主な合併症には以下のようなものがあります:

心血管疾患(Cardiovascular Diseases)

高血糖は、心臓や血管に損傷を与え、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患のリスクを増加させます。

神経障害(Neuropathy)

高血糖が神経にダメージを与えることで、手足のしびれや痛み、消化器系の問題などの神経障害が発生する可能性があります。

網膜症(Retinopathy)

高血糖が網膜に影響を与え、視力の低下や失明のリスクが高まります。

腎臓病(Kidney Disease)

高血糖が腎臓に損傷を与え、腎不全や透析の必要性が生じる腎臓病のリスクを増加させます。

足の潰瘍や壊死(Foot Ulcers and Gangrene)

神経障害や血管障害により、足の感覚や血液循環が損なわれ、足の潰瘍や壊死が発生する可能性があります。これにより、足の切断が必要となる場合もあります。


これらの合併症は、糖尿病の管理が不十分な場合により一層進行する可能性があります。
そのため、定期的な医療チェックアップや適切な治療、健康的な生活習慣の実践が重要です。早期の発見と治療は、合併症の発生リスクを減らし、健康な生活を維持するために不可欠です。

11:糖尿病の治療について

糖尿病の治療は、病態と症状の種類によって異なりますが、一般的な治療法には以下のようなものがあります:

食事療法(Dietary Management)

バランスの取れた食事を摂取することが重要です。
糖尿病専門の栄養士や医師の指導のもと、炭水化物、タンパク質、脂質などの栄養素を適切に配分し、食事量や食品の選択を調整します。

運動療法(Exercise)

適度な運動は、血糖値を下げるのに役立ちます。
有酸素運動(ウォーキング、水泳など)や筋力トレーニングを組み合わせることで、体重管理やインスリンの効果を高めることができます。

薬物療法(Medication)

インスリン注射(Insulin Injections)

1型糖尿病や進行した2型糖尿病の患者には、インスリン注射が必要な場合があります。

経口血糖降下薬(Oral Hypoglycemic Agents)

タイプ2糖尿病の患者には、食事療法や運動だけでは管理できない場合に、経口血糖降下薬が処方されることがあります。
これらの薬は、インスリンの分泌を促進したり、血糖値の上昇を抑えたりする働きがあります。

血糖モニタリング(Blood Glucose Monitoring)

自己血糖測定を行い、日々の血糖値の変動を把握します。
これにより、治療の効果を確認し、食事や運動、薬物療法を調整することが可能です。

教育と自己管理(Education and Self-management)

糖尿病の理解や管理方法を学び、日常生活で実践することが重要です。
患者や家族が糖尿病についてよく理解し、正しい治療法を実践することで、合併症のリスクを低減し、健康を維持できます。


糖尿病の治療は個々の状況に合わせてカスタマイズされるため、医師や医療チームとの密な連携が必要です。また、定期的な医療チェックアップや適切な自己管理が重要です。

12:糖尿病の薬物療法について

糖尿病の薬物療法には、主に以下の2つの種類の薬が使用されます。それぞれの役割や効果について説明します。

代表的な経口血糖降下薬

メタフォルミン(ビグアナイド)

インスリン抵抗性を改善し、肝臓からの糖の生成を抑制します。
また、筋肉および脂肪組織のインスリン感受性を向上させ、血糖値を下げます。

DPP-4阻害剤

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分解を阻害し、食後の血糖上昇を抑制します。

SGLT2阻害剤

腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排出させることで血糖値を下げます。

インスリン療法

インスリン注射は、インスリン抵抗性が進行している場合や1型糖尿病の治療に使用されます。
また、2型糖尿病の進行やインスリン分泌不足の場合にも必要となります。
インスリン療法は血糖値を効果的に管理し、合併症のリスクを低減するのに役立ちます。


糖尿病の薬物療法は、患者の状態や血糖値のコントロールに合わせて個々に調整されます。
また、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善や食事療法、適度な運動も重要です。
医師の指示に従い、定期的に血糖値をモニタリングし、適切な治療法を行うことが大切です。

13:脂質異常症とは?

脂質異常症は、血液中の脂質(コレステロールやトリグリセリド)の値が異常に高い状態を指します。
通常、健康な人の血液中には、特定の範囲内で脂質が存在していますが、脂質異常症ではこの範囲を超えた値が観察されます。

脂質異常症は主に次の2つのタイプがあります:

1. 高コレステロール血症(Hypercholesterolemia):

 血中のLDLコレステロール(低密度リポプロテイン)が高い状態を指します。
LDLコレステロールは、動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)のリスク因子の一つであり、動脈内にコレステロールが蓄積することで血管が詰まりやすくなり、心臓病や脳卒中などの血管疾患のリスクが高まります。

2. 高トリグリセリド血症(Hypertriglyceridemia):

血中のトリグリセリドが高い状態を指します。
トリグリセリドは食事から摂取された脂肪や肝臓で作られたものであり、高トリグリセリド血症は肥満、高血糖、高血圧、喫煙、運動不足などの生活習慣と関連しています。
高トリグリセリド血症も動脈硬化のリスクを増加させる可能性があります。
脂質異常症は、遺伝的要因や生活習慣、食事習慣、運動不足などによって引き起こされることがあります。


脂質異常症は通常、症状がほとんどないため、健康診断や血液検査で偶然発見されることが多いです。
治療や管理には、生活習慣の改善、食事療法、運動、薬物療法などが用いられます。

14:脂質異常症の原因は?

脂質異常症の主な原因は、遺伝的要因と生活習慣に関連する要因の組み合わせです。
以下に、脂質異常症の主な原因を説明します

遺伝的要因

脂質異常症は、家族歴に関連することがあります。
特定の遺伝子の変異が高コレステロール血症や高トリグリセリド血症の発症リスクを高めることがあります。
家族内で高コレステロールや高トリグリセリド症の人が多い場合、その個人のリスクも高まります。

生活習慣

不健康な食事習慣や肥満、運動不足などの生活習慣は、脂質異常症のリスク因子として知られています。
食事中の飽和脂肪やトランス脂肪の摂取が多い場合、LDLコレステロールの増加やトリグリセリドの上昇が引き起こされる可能性があります。
また、運動不足や肥満は、脂質代謝の異常を引き起こすことがあります。

喫煙

タバコの喫煙は、高コレステロール血症や高トリグリセリド血症のリスクを高める可能性があります。
タバコの煙に含まれる有害物質は、動脈壁の損傷を引き起こし、脂質の蓄積を促進します。

糖尿病

糖尿病は、高トリグリセリド血症や低HDLコレステロール血症(善玉コレステロールの低下)のリスクを高めることがあります。
高血糖状態は、脂質代謝を悪化させ、脂質異常症の発症を促進します。


これらの要因が組み合わさることで、脂質異常症が発症するリスクが高まります。
生活習慣の改善や適切な治療を行うことで、脂質異常症の予防や管理が可能です。

15:脂質異常症を放置するとどうなる?

脂質異常症を放置すると、以下のような健康リスクが増加する可能性があります

動脈硬化

高コレステロールや高トリグリセリド血症が持続すると、動脈内にコレステロールや脂質が蓄積し、動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)が進行します。
動脈硬化は血管壁の厚くなり、血管の内径が狭くなるため、血液の流れが制限され、心臓病や脳卒中などの血管疾患のリスクが増加します。

虚血性心疾患

高コレステロール血症が持続すると、虚血性心疾患のリスクが高まります。
LDLコレステロールが血管壁に蓄積し、動脈硬化が進行することで、冠動脈疾患や心筋梗塞などの心臓疾患の発症リスクが増加します。

脳血管障害

高コレステロールや高トリグリセリド血症は、脳血管にも影響を及ぼし、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)のリスクを増加させる可能性があります。
動脈硬化が進行することで、脳の血流が制限され、脳梗塞や脳出血が引き起こされる可能性があります。


これらの健康リスクは、脂質異常症が放置されたままである場合に増加する可能性があります。
そのため、脂質異常症の早期発見と適切な治療や管理が重要です。
生活習慣の改善や薬物療法を通じて、脂質異常症のリスクを低減し、健康な生活を維持することが重要です。

16:脂質異常症の治療について

脂質異常症の治療は、生活習慣の改善と必要に応じて薬物療法を組み合わせて行われます。

生活習慣の改善

健康的な食事療法

飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を控え、食物繊維や健康な脂肪(オメガ-3脂肪酸を含む)を摂取することが重要です。
食事中のコレステロールやトリグリセリドの摂取量を制限し、果物、野菜、全粒穀物、魚などを積極的に摂取します。

適度な運動

有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)や筋力トレーニングを定期的に行うことで、LDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増加させる効果があります。

喫煙やアルコールの過剰摂取を避ける

タバコの喫煙やアルコールの過剰摂取は脂質異常症のリスクを増加させるため、禁煙や適度なアルコール摂取が推奨されます。

薬物療法

スタチン薬

LDLコレステロールを効果的に低下させるスタチン薬が一般的に処方されます。
スタチンは肝臓のコレステロール合成を抑制し、心臓病や脳卒中のリスクを低減します。

フィブラート薬

トリグリセリドを低下させる効果があります。
高トリグリセリド血症の患者に処方されることがあります。

EPA

EPAは、肝臓での脂肪酸合成を抑制し、トリグリセリドの産生を減少させます。
また、EPAは血管内で炎症反応を抑制し、血管の健康を促進することが知られています。
これらの作用は、心血管系における疾患のリスクを低減する効果が期待されます。

小腸コレステロールトランスポーター阻害剤

エゼチミブは、小腸でのコレステロールの吸収を阻害することによって作用します。
これにより、血中のLDLコレステロール濃度を低下させる効果が期待されます。


薬物療法は、生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合や、高コレステロールや高トリグリセリド血症のリスクが高い患者において処方されることがあります。
治療方針は、患者の健康状態やリスクファクターに応じて個別化されます。
定期的な医師の診察や血液検査を受け、適切な治療プランを立てることが重要です。

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